ハィクリッド水路による転換畑での 秋まき小麦に対する排水促進、水分供給技術

摘要

北海道内での小麦作付面積のうち，汎用田での栽培(以下，「転換畑」とする）は24% (28, 600 ha)を占 めており，作付けされている小麦の大半は秋まき小 麦である。道央圏の転換畑には粘質で土壌物理性が不良な圃場 が多く存在し，6月から7月にかけては高温寡雨の傾 向にある。秋まき小麦は5月下旬頃までは作物体も 小さく，小麦の水分消費量も少ない。そのため春先に は融雪水の停滞など，透排水性の不良による湿害を受 けやすい。その反面，止葉期が終わり，小麦が出穂し 始める頃（6月以降）は子実を充実させるために多く の水分を必要とするため2)，根はり不足や水分不足が 生育を規制し，小麦の収量品質を不安定にしている。これらのことから秋まき小麦の健全な生育には，越 冬前から春先にかけての排水促進による良好な初期生 育の確保と，止葉期以降の生育後半に十分な水分を供 給できる環境づくりが必要である。