デジタル時代における次世代ものづくりの政策的課題と展望

摘要

製造業は我が国GDPの2割弱を占める基幹産業であり，これまでも国内製造業は最先端の製造技術を開発し続けるとともに，性能，品質，コストなどの観点から見ても優れた工業製品を国内外に供給してきた．その一方で，マスカスタマイゼーションに代表されるように，多様化するニーズに迅速かつ柔軟に対応するものづくりが今必要とされている．高い品質の確保や個別技術の先鋭化のみならず，ニーズに対応した新しい価値を生み出すものづくりのビジョンや，そのための仕組の構築が喫緊の課題となっている．本稿では，主に生産システムを対象に，日本におけるものづくりの課題や，次世代ものづくりの展望，そして政策的課題を簡潔に整理する．特に，デジタル時代に対応したものづくりを支えうる共有基盤的な技術のあり方や，ものづくりに関わる研究開発の方向性，これらを支える政策課題について議論する．