鉄道車両用転がり軸受の最新技術

摘要

1964年に東海道新幹線が開業して，初代新幹線電車「0系」車両が華々しく営業運転をスタートしてから既に半世紀の時が過ぎた.昨今では長年待望されてきた北陸新幹線(長野-金沢間）と北海道新幹線(新青森-新函館北斗間)が開業し，更なる延伸工事も計画·進行されている.また，「SHINKANSEN」は海外高速鉄道需要への進出も視野に入れ，今なお進化と輝きを放ち続けている.この新幹線の長い歴史の中で，転がり軸受技術の進歩が大きく貢献している.軸受の耐久性を上げるため，早期はくりの原因である酸化物系非金属介在物を極限まで低減する「真空再溶解」技術をいち早く採用し，0系新幹線の最高速度210km/hの開業に間に合わせたことや，更なる材料の長寿命化や軸受形式の改良などの進化を続け，最高速度300km/h を超える現在のN700系では，軸受質量が0系の約1/3にまで軽量化(70kg→24kg)を果たしている.これまで新幹線車両の高速化や信頼性の礎の一端を担ってきた鉄道車両用軸受は，次の時代を見据え，東海道·山陽新幹線と東北·北海道新幹線での更なる高速化やメンテナンス周期の延伸を狙った次世代車両の投入が発表され，これらに対応するため軸受での改良·開発も行っており，本稿では新幹線車軸用軸受を中心に最新の技術動向を紹介する.