鉄道技術開発物語「空気ばね台車」の開発－(1)

摘要

鉄道における空気ばね台車の出現は，車両の高速化と乗心地の向上に大きな役割を果たしてきた．空気を封入した空気ばねのアイディアは1900年の初頭の米国特許に見られるが、容器となる薄くて強靭なゴム膜の製造が可能となる1930年代後半になってその実用化が始められた．エアーサスペンション·バスに続いて生み出された空気ばね台車は，当時の鉄道車両の近代化に関連した軽量化，高性能化の要求に対応して空気ばねを含めその高性能化，高機能化が進められた結果今日の空気ばね台車となっている．筆者らは，このような空気ばね，および，空気ばね台車の開発，設計を，初期の段階を除いて，鉄道会社の指導，協力の下に続けてきた．ここでは，筆者らが関連した事柄を主にわが国の空気ばね台車の技術面での進展につき時間を追って記すことにする．また，わが国の空気ばね台車技術に関心を寄せ，日本の空気ばねを採用している欧米鉄道の空気ばね台車に関した事柄についても若干触れてみることにする．