舶用過給機の性能計測試験と“計測の不確かさ評価”

摘要

近年，舶用ディーゼルエンジンの高出力化·低燃費化に伴い，過給機に対しても従来以上の高効率化，高圧力比化が求められるようになった。 舶用過給機の新機種開発ならびに従来機種の改良および品質保証において，この熱力学的性能計測試験は最も重要な工程のひとつである。 過給機の熱力学的性能計測試験は，圧力·温度·湿度などの状態量を計測し，流量·効率などの直接計測できない量を算出する。 大気圧力·温度·湿度などが変動すると，その影響も考慮しなければ真の値を導くことはできない。実測値に基づいた計算結果には，必ず誤差が含まれている。 真の値が分からなければ誤差は導けないが，誤差の内容を検討して不確かさ解析を行うことによって真の値を推測し，また，誤差の要因を特定することも可能である。 本報では，舶用過給機の熱力学的性能計測における不確かさを明らかにするために，いくつかの過給機を用いて測定した状態量データから性能計算を行い，その結果と不確かさについて検討する。