脆性材料を対象とした鏡面研削砥石の開発（概要）

摘要

工業的に用いられる研削砥石は，加工物を削り取るための砥粒，その砥粒をつなぎ止める役割の結合剤，そして，切り屑の排出性を高めるための空間（気孔）から成り立っており，一部の気孔が存在しない砥石においては，ドレッシングと呼ばれる目立て作業を行い，気孔に相当する空間を作り出している．また，砥石を焼結する前段階においてこれらは良く混ぜ合わせられ，3次元的に均一なものに仕上げられる．これに対し，刀剣などの研磨に用いられる天然砥石の中には，気孔が極めて小さい上，3次元的に均一な形状ではなく，層状の構造を持ったものが存在する（図1）．また，これらの砥石は，刀剣の研磨においても仕上げ工程で用いられるなど，特別な役割を果たすものが多く，人造の砥石では取って代わることの出来ないものとされている．この様な人造砥石には無い特徴を持つ天然砥石の組成や加工メカニズムを解明することは，今までに無い人造砥石を開発する可能性を秘めており，加工精度の向上に寄与するものと考えられる．