斜め延伸による位相差フィルム製造技術開発

摘要

日本ゼオン（株）では液晶表示装置（以下LCD）の普及促進めために，構成部材である光学部材を低コスト化するための新規技術を構築してきた．特に光学フィルムの分野においては，光学フィルム＝溶液キャスト製膜という従来の概念を覆し，世界初となる溶融押出しによる精密な膜厚制御技術を完成させ，光学フィルム原反を安価に供給可能とした．更に，広幅で精密な逐次2軸延伸技術の構築によって，偏光板と位相差フィルムのロールツーロールによる連続貼合を可能とし，偏光子保護膜と位相差フィルムを兼用とすることによって部品点数の削減とプロセスの効率化を実現してきた．しかしながら弊社では，自分達が構築してきた延伸技術では原理的に上述のロールツーロール貼合に対応できないLCDモードが残されており，その解決手段としては従来技術の様に，流れ方向又は幅方向に制限されない，任意の方向への新しい延伸技術の開発が必須であることに着目し，検討を進めていた．その結果，従来に無い独自の延伸技術の開発に成功し，「斜め延伸フィルム」がゼオノアフィルムZDグレードとして実用化に至った．