ブリコラージュとしてのバイオミメティクス

摘要

生物模倣と邦訳されるバイオミメティクス（biomimetics）は，生物に学ぶという古くからある考え．方であり，ナイロンに代表される合成繊維，1970年代に世界的な潮流となったBiomimetic Chemistry，潜水艦のソナー，新幹線の防音技術，ロボットなど様々な分野で用いられてきた．今世紀になり，飛躍的な展開がもたらされたナノテクノロジーと“博物学’’と称される自然史学·分類学との異分野コラボレーションによって，ヨーロッパを中心とした材料系バイオミメティクスとも言うべき新しいトレンドが興り，また，米国からは環境問題解決の切り札としてのバイオミミクリー（biomimicry）が提唱され，2011年にはドイツから国際標準化の提案がなされるに至った．ドイツ提案の国際標準化案は，異例とも思える速さで審議され，2016年には三つの国際標準が発効した．