プラスチック成形加工の最近の研究動向：CAE

摘要

CAE（Computer Aided Engineering）は，航空機産業や自動車産業では，その有用性が認識され，構造解析，流体解析，最適化などのさまざまな解析領域において，製品設計や成形加工技術の改良などに利用されている．一方，高分子成形加工業界においては，レオロジー特性の理解が十分でないため，現在のところCAEの利用は限定的である．しかし，近年，シミュレーション技術やコンピュータ性能の向上の結果，CAEの産業利用の適用範囲や可能性が高くなっている．本稿では，近年の技術報告から以下の点に着目し，解析技術，解析事例を紹介する．1）射出成形; 2）押出成形; 3）付加製造; 4）結晶化; 5）メルトフラクチャー。また，近年，新規の計算手法として，SPH（Smoothed Particle Hydrodynamics）などの粒子法が樹脂流動解析の研究に利用されてきているので，最後に，これに関しても紹介する．