自己クランプ型と工程分割によるインサート成形のハイサイクル化

摘要

自動車販売台数は，日米欧で横ばいなのに対し，中国をはじめとする新興国市場では年率2桁台の伸びで2014年には自動車販売台数の1／3を占めると予想される．このような状況の中，我々は新興国市場で勝ち残るために，これまで，低労務費や低輸送費の活用といった観点から，新興国現地生産を進めてきた．しかし，労務費の高騰やストによる工場停止など，新興国生産によるメリット減少に加えて，デメリットが顕在化している．また，新興国現地生産の推進により，これまでの強みであった，設計製造のすり合わせによる“作りやすい製品の実現”や“ものづくり力のスパイラルアップ”が困難になり，競争力の低下，国内の空洞化が進みつつあった．以上のような，新興国現地生産に起因する問題点を解決するには，国内生産の競争力を向上し，Made in Japanでも新興国生産に勝てる，生産システムの構築が必要だと考えている．新興国現地生産の特徴は，低労務費を活用した人海戦術であり，この方式に勝つために，今回，手作業では成し得ない圧倒的な高生産性を実現する生産システムを開発し，新興国生産に勝てる成形品の低コスト化を目指した．