パガス炭による硝酸 態窒素の溶脱防止に関する研究 ークェン酸処理がパガス炭の吸着能に及ぼす 効果

摘要

【背景と目的】集約農業における多量の肥料の施用による余剰養分、特に窒素成分の溶脱 が地下水を汚染することは広く知られていることである。一方、井戸水などを飲料水とし て利用する際には、地下水中の硝酸態窒素濃度が水質汚濁防止法により亜硝酸態窒素との合量で10mg/L以下と定められている。高濃度の硝酸態窒素、亜硝酸態窒素を過剰摂取する と血液中の酸素の運搬を阻害することから、乳幼児を中心に「メ卜ヘモグロビン血症」を 発症させ健康障害を引き起こす場合がある。また、環境への影響としては湖沼への流入が 富栄養化の原因になる。そのため、農地から溶脱する硝酸態窒素を抑制する手段が講じら れなければならない。そこで本研究では、農業副産物であるバガス（サトウキビの搾り力 ス）に炭化処理を施し炭の吸着特性を利用して硝酸態窒素を吸着除去することを検討した。 特に、クェン酸処理によるバガス炭の吸着能力の向上について検討した。