我が国のバイオマス利用と資源作物活用研究 -バイオ燃料用原料としての，熱帯牧草を中心にした草本性バイオマスの特性と品種改良一

摘要

植物は光合成によって太陽エネルギーを最も効率よく利用している生物である.すなわち，大気中の二酸化炭素(C02)と大地からの水(H20)を原料にして，太陽エネルギーによって炭水化 物(CH20)を植物体内で生産し，大気中に酸素(02)を放出する.ここで作り出される炭水化物が いわゆる「バイオマス」であり，生物によって固定された太陽エネルギーとも言える.ここで 生産された炭水化物を原料として作り出した気体，液体および固体燃料を燃焼しても，原料と なったC02が大気中に放出されるため，基本的に大気中のC02を増加させない計算となり，こ れを「カーボン-ユートラル」と呼ぶ.これが，化石燃料をバイオマス燃料で代替することに よる大気中CO_2の削減が期待されている理由である（図1).