水性バイオマス:琵琶湖の藻を原料とした高密度バイオ固体燃料の燃焼特性

摘要

私たちの生活基盤を支えている石油や石炭，天然ガス等の化石燃料は有限な資源である．近年，それらの枯渇が問題視されており，一説によると21世紀後半には枯渇してしまうのではないかとも言われている．また，それらの化石燃料の大量消費により環境問題が深刻化している．これらの問題と現在，脱原発の考えから日本国内で自給自足可能な化石資源や原子力を代替する新しい再生可能エネルギーの確立が必要不可欠である．現在，クリーンなエネルギーとして生物資源による新規エネルギーの開発が注目されており，これまでに生物資源として陸域の木材や草，農産物などが主な原料とされてきた．しかし，陸域は地球全体の約3割に過ぎず，陸上植物の内，食用やそれと競合する資源は，その需給量によって直接物価へ反映し，社会·経済への影響が大きな問題となっている．その点，海洋は地球表面の約7割を占めているのにも関わらず，直接人類の活動に貢献している部分は，沿岸域などごく一部であり，海藻の成長に必要な太陽光の照射面積を考えると，さらなる有効活用が期待できる．水性バイオマスは，木質バイオマス等と比較すると多含酸素な物資であるため，燃焼利用する際にバイオコークスの着火性を向上する可能性を秘めている．