発症は免疫低下の兆候、人への感染にも注意を:子牛に脱毛伴う病変もたらす皮膚真菌症

摘要

皮膚真菌症は子牛の皮膚に多く見られる感染症で、皮膚糸状菌（カビの一種で白癬= はくせh=菌とも呼ばれる)が牛の皮痛表層で増殖することで発症します。皮膚糸状菌 は、栄養にケラチンを必要とするため、皮や爪を好みます。国内の牛から分離される皮膚糸状菌の9割以上は白癬菌属の卜リコフィトン'ベルコーズム(以下、Tvと記載） です。Tvは乳牛や肉牛から日常的に分離され、栄養不足に加え、集団哺育、離乳後の 集団飼養、放牧によるストレスなどが原因で免疫機能が低下すると、牛の顔面を中心 とした皮膚に、脱毛を伴う白い円形の病変をつくります。Tvによる皮膚病変の出現は、 牛の免疫機能の程度を見極める指標となります。Tvは人にも感染し局部的な皮膚炎を 発症します。それだけに発症牛の取り扱いには注意が必要です。（筆者）