紅茶ポリフェノール高含有紅茶飲料の長期摂取時および過剰摂取時の安全性の検討

摘要

本邦では生活習慣病の増加が深刻な問題となっている。平成20年4月からは，糖尿病等の生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的とした特定健康診査·特定保健指導が開始され，国をあげて生活習慣病対策が行われている。生活習慣病の発症要因の一つとして食習慣の影響が大きいことが知られており，たとえば，「日本人の食事摂取基準[2005 年版]」では，摂取エネルギー量に対する脂肪由来のエネルギー量の比率（脂肪エネルギー比率）に関して，肥満，メタポリックシンドローム，冠動脈性心疾患等のリスクを考慮し年齢に応じた摂取基準が定められている。しかし，平成19年の国民健康·栄養調査では，脂肪エネルギー比率が摂取基準よりも高い者の割合が増加する傾向にあることが示され，将来の上記疾病の増加が危惧される。冠動脈性心疾患や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の危険因子としては，血中LDLコレステロール値，高血圧， 糖尿病，喫煙などが知られているが，近年，血中中性脂肪値が独立した危険因子であることが示された。さらには，食後の高中性脂肪血症が心筋梗塞の独立した危険因子であることも報告されており，空腹時の血中中性脂肪値のみならず，食後の血中中性脂肪値の上昇を抑制することが，生活習慣病を予防するうえで重要であると考えられる。