水路の沈下による水利用、水理機能の低下に関する実態調査および分析

摘要

我が国の農業フX利施設の多くが長期供用下におかれ更 新の時期を迎えつつある中，農業水利システムにおける 総合的な機能診断の必要性や性能照査型設計への指向が 高まっている。水路システムを対象として，これまでに 氷利用、水理機能につレ〗.ての性能項目が提示され（中ら，2008),機能診断手法の検討事例が積み上げられてきた (三春ら，2008 ；三春ら，2009 ；樽屋、三春，2009 ；伊 藤ち，2011)。施設の補修'更新事業に際しては，現時 点において保持している機能と，建設当時（過去）に保 持していた機能，さらには将来的に保持すべき（計画上 の)機能の全てに対して，同じ客観的基準で比較できる 評価手法が望まれる。水路の本来機能である，受益面積 に対する需要水量を確保し圃場へと配水するためには， 汆路システム内の各施設における通水性や分水制御性と いつた評価指標を適切に機能診断する必要がある。しか し，それらを現時点でそのような要請に一律に応えられ るような方法は確立されておらず，構造性能にくらベて 氷利用、水理性能に関する性能設計の導入が進みにくい理由の一つになっている。