前立腺癌骨転移一臓器特異的転移機構一

摘要

前立腺癌は高齢者男性に発生する男性ホルモン依存性 癌であり，高率に造骨性骨転移を示す癌である。前立腺 癌の骨転移機構を解明するために，ヒ卜成人骨を移植し た免疫不全マウスの尾静脈からヒ卜前立腺癌細胞株を移 植し，移植骨への転移機構を検討した。骨組織は体中で最大のInsulin-like Growth Factor (IGF)の貯蔵臓器であ り，前立腺癌の骨腫瘍形成におけるIGFの影響を，破骨 細胞の分化阻害，七卜IGF特異抗体を用いて検討したと ころ，ヒ卜前立腺癌はヒ卜骨基質内に蓄積されたIGFを 利用して腫瘍形成をしていることが示された。特に， 骨における生着早期の時期に骨由来のIGFを利用して いると考えられた。実際に，ヒ卜前立腺癌細胞に対する IGFによる細胞増殖活性は低く，杭がh剤，杭ホルモン 治療に対するアポ卜一シス阻害において重要な役割を果 たしていると考えられた。今後，前立腺癌骨治療に対す る新しい治療開発には，癌微小環境の検討とともに時間 的、空間的な作用機序を考える必要があると思われる。