低温サブァイア結晶を用いた超高安定マイクロ波発振器－地上で最も安定な発振器を目指して－

摘要

低温サファイア発振器（Cryogenic Sapphire Oscillator、以下CSO と略記）は、マイクロ波領域の周波数で発振する極めて安定な発振器である。1970年代後半、ソ連のBraginskyらによりサファイア結晶の電気的損失が10K以下の低温で極めて小さくなることが示され、このサファイア結晶を共振器として用いて周波数の基準とすることにより極めて安定な発振器が作れることが分かってきた。高安定な発振器は、アインシュタインにより予言された「時空のさざ波」である重力波を検出するための、共振型アンテナの変位センサーの高感度化に不可欠であることから、その開発グループの一つであった西オーストラリア大学（University of Western Australia、UWA）においてCSOの開発が進められた。