経口電解質による生乳の希釈が哺乳子牛の 第四胃カード形成に及ぼす影響

摘要

経口電解質の給与は，子牛の下痢症などに伴う 脱水症状や代謝性ァシドーシスを安全かつ効果的 に改善する方法である.しかし，経口電解質の栄 養素やエネルギーの含有量は，生乳や代用乳に比ベ低いため，断乳し経口電解質だけを給与し続け ると，子牛はエネルギー不足になり，体重の減少 や元気の喪失に陥る.そのため，経口電解質を給 与する時は，生乳や代用乳と交互に給与すること が'勧められている.また海外の報告では，電解質 の粉末やジエルを生乳に直接溶解して給与するこ とで，生乳の栄養素と電解質を同時に供給するこ とができると提案している.一方，国内の現状は 経口電解質を温湯で溶かすように指示する商品が 多ぐ断乳から生乳や代用乳給与に戻す際に，生 乳や代用乳と等量混合して給与することを指示している.しかし等量混合した50%電解質乳が， 子牛の消化機能に及ぼす影響については調べられ ていない.子牛の第四胃カード形成は，哺乳子牛 特有の消化機構で，効率的な栄養素の吸収に重要 である.本研究では，50%電解質乳を哺乳した 子牛の第四胃でカードが形成されるカゝ，また第四 胃内容積が哺乳後どのように変化していくカゝ，生 乳給与群と経口電解質給与群と比較し，子牛の消 化機能に及ぼす影響を調べた.