(052)繊維化塑性関節モデルによる骨組構造解析時の計算時間の低減

摘要

著者の一人は先に，鋼骨組の統一的三次元大変位弾塑性解析のための汎用はり要素を提案した．本要素は，既に文献2～6において非対称断面部材，RC部材，SRC部材およびCFT部材にも使用できるように拡張されている．本要素は基本的には塑性関節モデルであるが，塑性関節部の塑性変形増分を繊維に分割した断面に関する数値積分で求めるため，塑性変形が極めて精度よく評価できるという特徴を有する．本要素を著者らは繊維化塑性関節モデルと称している．繊維化塑性関節モデルは，定式化に際して導入した「要素内では一般化ひずみの塑性成分は線形に分布する」という仮定によって，1要素の長さが大きくなると曲げ変形の塑性成分を常に過大に評価する仕様になっている．すなわち，部材の要素分割数を小さくすると骨組の保有水平耐力を必ず低目に評価する．このことは，素材の降伏応力を実際の値よりも高目に補正することによって，骨組をモデル化するときの要素分割数を小さくできる可能性を示唆している．