当科における大腿骨頭すベり症の治療成績

摘要

【方法】当科で治療した大腿骨頭すベり症の15例を対象とした.初診時年齢は平均11.7 歳でこれらの症例の当科受診までの経緯，後方傾斜角,Lodar分類，合併症の有無を調査した.【結 果】初診時に大腿骨頭すベり症と正確に診断されていた症例は8例であった.後方すベり角は軽症 例が8例，中等症例が4例，重症例が2例であった.Loder分類は安定型が9例，不安定型が5例 であった.歩行不可能となってから30時間後に手術加療した1例に大腿骨頭壊死を認めた..【考察】 大腿骨頭すベり症の診断の遅延はすべりの重症化につながるため，早期の診断，治療が重要である. 近年，不安定型大腿骨頭すベり症では発症後24時間から7日の間で.手術を行うと骨頭壊死の発症 率が高まるとされており，本研究でも2例中1例で骨頭壊死を認めた.発症後24時間以内の手術 が困難な場合は入院，安静,牽引の後，1週間以上待機してから手術を行うようにすべきである.