脳性麻痺股関節脱臼?亜脱臼の粗大運動能力レベル別の治療成績

摘要

脳性麻痺の股関節脱臼?亜脱臼に対する手術の成績に影響する因子として，これまで考慮してきたmigration percentage (MP),年齢，関節形態以外に，脳性麻痺の重症度も重要と考えら れる.そこで，gross motor function classification system (GMFCS)レベル別に成績を評価した.対 象は2000?2008年に粕屋新光園で股関節の手術を行った脳性麻痺で，MP 40%以上，手術時年齢 18歳未満，かつ，初回手術の78例104関節のうち，2年以上追跡した61例81関節である.術前な らびに調査時のMPを測定した.GMFCSレベルIVでは筋解離術により16関節全てにMPの改善 がみられた.GMFCSレベルVでは14関節中10関節ではMPが改善したが,4関節（3例）ではMP の悪化を止められなかった.この3例はいずれも寝返り不能であった.今回の調査により，脳性麻 痺の重症度が脳性麻痺の股関節脱臼?亜脱臼に対する手術の成績に影響することが示された.