10歳男児の大腿部に発生した巨大脂肪腫の1例

摘要

【目的】小児に発生した脂肪腫や脂肪芽腫の報告は比較的少ない.今回，10歳男児の大腿 部に発生した巨大脂肪腫の1例を報告する. 【症例】症例は10歳の男児で，主訴は右大腿の腫脹であった.現病歴は初診の2か月前に右大腿部 後面の腫脹に本人力付いた.疼痛や熱感はなかった.現症では大腿後面に約10 cm大の軟部腫瘍 があり，境界は不明瞭で，圧痛や放散痛は認めなかった.MRIでは大内転筋内を中心に7x8.5x12 cm大の脂肪と類似した信号を呈する腫瘍がみられた.生検術を施行し，病理組織像で，一部に炎症 所見や脂肪芽細胞がみられたが，脂肪腫と診断した.切開生検後7か月で全摘出術を施行した.一 塊としての摘出は困難で，腫瘍を可及的に摘出した.術後5年の最終調査時では右下肢は自覚症状 はなく ，機能障害はみられず画像所見でも再発は認めなかった. 【考察】渉mしえた限り，小児の巨大脂肪腫の報告例は少ない.本例では腫瘍内切除を行ったが，経 過は良好であった.