顎口腔領域のMRI読像の基本

摘要

顎口腔領域への画像診断は従来から単純X線検査が広く活用されてきた。しかしながら，同領域疾患は病理組織 学的に多彩な成分で構成されており，日常臨床で鑑別診断 や病変の進展範囲等に苦慮する症例も多々存在した1。近 年，コンピュータや医療機器の進歩に伴い顎口腔領域への画像診断は急速に発展し，X線CTや磁気共鳴画像 (Magnetic resonance imaging ： MRI)が広く普及してき た。これらのモダリティーを一般病院や大学病院に依頼し， 日常臨床に利用している歯科開業医も年々増加している。 特に，被ばくのない磁場を利用し，ヒトの水素（プロト ン）分布を画像化するMRIは1990年以降，顎口腔領域 疾患に日本でも利用されるようになってきた。現在は歯科 医師国家試験にMR画像が出題されるほどになったのは ご周知のとおりである。