貯蔵グリコ一ゲンの低下が漸増負荷運動中の血糖値と血中乳酸値の動態に与える影響

摘要

血中乳酸値には運動強度に対して急激に上昇し始める閾値(乳酸性作業閾値；Lactate threshold, 以下LT)があることが知られており，持久性運動能力の指標として広く用いられている.近年Singesらは，漸増負荷運動中の血中グルコース濃度(Blood glucose concentration ；以下血糖値と表記する)の動態に着目し，LTと同様に運動強度に対する上昇閾値(血糖上昇閾値；Glucose threshold, 以下 GT) があると報告した.現在のところGT はLTと同様の指標になると定義されている. 血糖値は，安静状態から60%VO_2max前後の運動までは，インスリンゃグルカゴンによって一定範囲で調整されている.一方，80%VO_2maxを超えるような運動強度に達するとアドレナリンの分泌量が増加することによって，筋でのグルコースの取り込み量以上に肝臓からグルコースが供給され，血糖値が急激に上昇する.