地震と地すべり（その3）ー地震動が地すべり斜面に与える影響と地震地すべり対策ー

摘要

地すべり斜面を一枚のすべり面で切り取られた剛体の斜面と仮定し，通常の地すべり斜面の安定計算で行われているようにいくつかの細片（スライス）に分割する。各スライスに作用する加速度を求めスライスの重量による重み付けをして地すべり斜面全体に作用するとして安全率を求める。コンピュータの発達で，有限要素法を用いた地震時における斜面内の応力計算も容易になったが，実用を考える場合には地震荷重を静的荷重に置き換えて安定計算を行うのが一般的と思われる。動的斜面安定計算で最も簡単な方法は震度法である。この方法は地震荷重を地すべり移動体に作用する等価の静的水平荷重として考え限界平衡解析法で計算する方法である。震度法は方法として問題があるが安全側の結果を与えるため現場でもっともよく用いられている方法の一つである。震度法では地域の地震振動特性を考慮して震度係数を導入する必要がある。