口腔粘膜特異的マクロファージサブセッ卜が舌下免疫療法における 免疫寛容の誘導に関与する

摘要

舌下免疫療法(sublingual immunotherapy ； SLIT)は，舌下にアレルゲンを投与することでァレ ルギー反応を減少させ，アレルギー疾患の根治を 可能とする治療法である.SLITを実施した患者で は，口腔粘膜組織でFoxp3陽性細胞が増加するこ とや，末梢血中でinterleukin-10(IL-10)を産生する 制御性T細胞（regulatory T cell；Treg細胞）が増 加することが知られ，SLITの作用機序が少しずつ 明らかになつてきた.また，舌下に投与したアレル ゲンは口腔内の抗原提示細胞（antigen-presenting cell；APC)によつて速やかに捕捉された後，顎下 リンパ節に運ばれて免疫寛容が誘導されることが わかり，口腔粘膜でのアレルゲン捕捉および顎下リ ンパ節における免疫寛容誘導にかかわるAPCのサ ブセットについても明らかになりつつある.本稿で は，舌下免疫療法における免疫寛容誘導のメカ二 ズムについて，われわれの知見とともに概説する.