電子機器の疲労寿命予測のための応力シミュレーション技術

摘要

現在，電子機器は，身の周りの家電品から社会インフラを担う製品まで広い分野で使われており，製品の用途に応じた十分な信頼性を確保する必要がある。故障は時間経緯によって，初期故障，偶発故障，摩耗故障に分けられるが，初期故障と偶発故障は製造工程に，摩耗故障は設計に原因がある場合が多いとみられる。一般に物が故障する原因は，材料に物理的または化学的な変化が生じ，材料の特性が劣化したためであり，物理的な変化の代表例として疲労破壊があげられる。疲労寿命予測は，製品の信頼性設計の最重要項目の1つであり，近年のコンピュータの急速な発達に伴い，有限要素法に基づく応力シミュレーション技術の適用が進hでいる。本稿では，電子機器における疲労強度設計技術の必要性と基本的な考え方，応力シミュレーションの適用方法について述べる。