進行卵巣がhに対する抗PD-1抗体療法

摘要

進行卵巣がhに対しては化学療法や手術を含む集学的治療を行うが,過去20年にわたり長期予後は改善しておらず,新しい治療法が求められている.当科では卵巣がhに対するがh免疫研究を進める中で,京都大学免疫ゲノム医学(本庶佑教授)および同免疫細胞生物学(湊長博教授)との共同研究から,PD-1経路によるがh免疫抑制が卵巣がhの生存予後に有意に関連していることが判明した,そこで化学療法が無効となった難治性卵巣がh20例に対して PD-1経路を阻害する抗PD-1抗体(Nivolumab)を用いた医師主導第II相治験を開始した.本稿では,これまで当科で行ってきた卵巣がhにおける本経路の基礎的検討から,抗PD-1抗体を用いた医師主導治験の実現までの道程,ならびに抗PD-1抗体治療の展望と課題について述べる.