コモンマーモセットのin vivoパーキンソン病モデル：マカク属サルなどとの比較

摘要

脳の黒質線条体ドーパミン神経が進行性に変性していくパ￣キンソン病では，患者の日常のQOL（quality of life）は著しく損なわれる，この疾患の主たる治療法は現在のところ薬物療法であるが，これにはいくつかの副作用と限界が知られている。 一方，我が国は，歴史がこれまでに経験したことのない急速な高齢化社会を迎えつつあり，2004年現在の我が国の65歳以上の人口は約2，500万人であるが，20年後にはさらに1，000万人の増加が予測されている．65歳以上の人口の約10％がアルツハイマー病に，また1%がパーキンソン病に雁病すると言われているので，残念ながらパーキンソン病の患者数は今後顕著な増加を見ることになるであろう。 このような全体的状況を考えるとき，パーキンソン病のより有効な治療法の確立が強く望まれることは論をまたない，多くの神経精神疾患について，その機序を解明し，治療法を確立するために様々な動物モデルを利用した前臨床研究が活発に進められている。 これらの中で，サル類におけるパーキンソン病モデルは，神経変性の脳内機序と臨床症候に関する類似性が存在する点で，最も妥当性の高いね〃加動物モデルの1つと言えよう。 それゆえに，このモデルを利用したパーキンソン病に関する新規医薬品の開発，神経幹細胞などの脳内移植の有効性判定，神経外科的治療法の検討などに関する研究には大きな期待が寄せられる．