神経可塑性と学習記憶における翻訳調節

摘要

脳高次機能と言われる学習や記憶は神経回路の機能的再編成によって起こる．この過程の細胞レべルでの変化がシナプス可塑性あるいは神経可塑性と呼ばれるものである．この可MIA的変化に新規夕ンパク質合成を要とするものが知られている．夕ンパク質合成を制御しているのは細胞内でのmRNA翻訳機構であり．細胞外からの刺激によって翻訳因子や翻訳調節因子のリン酸化などによりmRNA翻訳のレートを制御している．本稿では．神経可塑性や学習記憶過程のパラダイム，さらには学習記憶障害．精神遅滞を伴う脳疾患における脳あるいは神経細胞での翻訳調節についてこれまでの知見を整理し．その重要性について考えていく．