定量的1分子蛍光イメ一ジングと計算機シミュレ一ションを 用いたゲノムダイナミクスの解析

摘要

ゲノムDNAは細胞の核内で3次元的に折りたたまれ，クロマチンと呼ばれる構造を形成して いる.近年，我々の行った実験をはじめとするいくっかの研究にょって，クロマチンは定説で あった規則的な30nmの構造を持たず，ヌクレオソ一ム線維が不規則に折りたたまれて構成 されていることがわかってきた.この構造ではヌクレオソ一ムは物理的な束縛を受けないた め，ょりダイナミックな状態であることが予想される.これは，タンパク質がゲノムDNAを 検索するのにきわめて有利であると考えられる.最近我々は，ヌクレオソ一ムの1分子イメ一 ジングにょり，生きた動物細胞においてヌクレオソ一ムが局所的にゆらいでいることを発見し た.さらに，モンテ力ルロ計算機シミュレ一ションなどを組み合わせ，ヌクレオソ一ムのゆら ぎはタンパク質のクロマチンヘのアクセシビリテイを向上させ，ゲノム情報が検索される際に きわめて重要であることを示した.