硬い結晶の柔らかい化学-タンパク質のような柔軟性をもつペプチド骨格多孔性金属錯体

摘要

分子の「柔らかさ」を考えることは,化学現象のダイナミクスや物質の特性を理解するうえで欠かせない概念である.柔軟かつ高機能な分子の代表例として,タンパク質があげられる.夕ンパク質はアミノ酸がぺプチド結合で何百個も連結した鎖状高分子であり,紐のような自由な折れ曲がりが可能である.たとえば酵素は対応する基質分子が接近すると,自身の構造(コンフオメーシヨン)を段階的に変形させて基質分子にフイットしようとする(誘導適合)これによって非常に優れた基質特異性(特定の基質とのみ結合する性質)を示し,その後の酵素反応を効率よく触媒している.