Aサイト秩序型べロブスカイト鉄酸化物CaCu_3Fe_4O_(12)の圧力効果——高圧下メスバウアー分光で明らかにされる超高圧の磁性と電荷秩序——

摘要

圧力を印加して物性を測定する実験方法は,最近目覚ましい発展を続けている.物性研究において,圧力は温度と同様に重要なパラメータであり,圧力を印加して,体積を圧縮させることで電子状態が次々に変化し,大変興味深い物性が発現することもある.圧力をどれくらい高圧まで印加するかによって,行える実験や測定が限られてくるが,ここでは50 GPa (大気圧の50万倍)ぐらいを目安にしたダイヤモンドアンビル高圧発生装置を使用した実験を紹介する.本研究で主役を果たす実験手法は~(57)Feメスバウア一分光である.高圧下でのメスバウア一分光の実験方法は後で簡単に説明するが,詳しくは,過去の固体物理等に解説があるため,そちらを参考にしていただきたい?本稿では,Aサイト秩序型べロブスカイト鉄酸化物の電荷不均化,高スピン-低スピン転移,半導体-金属転移,結晶構造の圧力効果に関して,~(57)Feメスバウアー分光,電気抵抗測定と合わせて,放射光施設であるSPring-8の高輝度な光を利用したX線回折とX線吸収分光の結果も示しながら,高压下の物性研究の最近の成果を紹介する.