エチレン共存下でのメタン転化反応およびエチレン転化反応によるプロピレンの合成

摘要

これまでプロピレンは，ナフサからエチレンを生産する際の副産物として位置づけられてきた．ところが最近，"プロピレンシフト"という言葉で表現されるように，プロピレンの需要が高まってきている．現在，プロピレンは工業的にナフサのクラッキング（水蒸気共存下），ナフサの流動接触分解（水素共存下），プロパンの脱水素（酸素共存および非共存下），オレフィン転化（メタセシス，オレフィンの分解），メタノール（またはジメチルエーテル）の転化によって製造されている．これらの製造法は地域性，原料の入手法，経済状況等に基づいて適した，それぞれの反応（製造法）が選択されていることはいうまでもない．本稿では，研究段階でのプロピレン合成法について著者らの研究結果であるメタンとエチレンとの反応，およびエチレン転化反応によるプロピレンの合成法について述べる．前者の反応では酸素非共存下で，メタンを満性化する方法について主に焦点を当てる．