金属ナノ粒子形成を目指した脂質膜上での化学還元法の開発

摘要

金属ナノ粒子とは,粒径が100nm以下の金属の微粒子を指す.数10nm以下のサイズになると,高表面積を持つことによる原子の移動?拡散?溶解性の増大,量子サイズ効果が顕著になり,バルク金属とは異なる物理的?化学的特性を示すとされている1).この効果を利用した多くの応用途が展開されている.例えば,ステンドグラスなどの装飾材料,センサ素子,コンデンサ材料,バイオアッセイ,あるいは触媒材料である.特に触媒特性については,特異な触媒効果が知られるようになり,従来の均一系触媒である金属錯体を上回る性能を示すものも報告されている2).それゆえ,金属ナノ粒子の調製法が精力的に研究されてきた.