量子インターネッ卜波長変換による通信波長光子と原子間の量子もつれ生成

摘要

量子インターネットは,各地の量子情報システム.ネットワークを相互接続したグローバルな量子情報通信網である.量子情報システムには光,原子,イオン,半導体,超伝導回路などさまざまな物理系が考えられるが,各システムへのアクセスには物理系に固有の波長の光が用いられる.そのため,量子インターネットの実現には,量子的な性質を壊すことなく光の波長を変換する量子波長変換が重要な技術となる.われわれは,量子情報を長時間保存可能な量子メモリーの多くと相性のよい可視近辺の波長の光と光ファイバー通信のための通信波長光を結ぶ量子波長変換器の研究に取り組hできた. 量子情報を担う光の自由度としてしばしば偏光が用いられるが,従来の波長変換器は特定の偏光にしか応答せず,偏光光子の波長変換ができない問題があった.本研究において,偏光無依存型の量子波長変換器を新たに実現し, これを用いて,量子メモリーとしての冷却ルビジウム(Rb)原子集団と通信波長の偏光光子間の量子もつれ状態の生成に成功した.