球キャップ調和解析を用いた2000年日本域における地磁気空間分布モデルの構築

摘要

地磁気は，主体となる地球流体核で発生する磁場（主磁場）と，地殻の磁化などによる磁場による地球内部磁場と，太陽風の影響による地球外部磁場など複数の磁場源から構成されるため，その空間分布と時間変化は複雑である．任意の場所での磁場標準値を与えるモデルが構築されれば，地球内部の物理変化の解明や地殻活動の監視などへの貢献が期待される。 このようなモデルは，全球乇デルと地域乇デルに分けられる。 全球モデル（例えば，The International Geomagnetic Reference Field: IGRF）は，球面調和解析法を用い七，世界各地の地磁気観測所や人工衛星などにより得られた観測デー夕を利用して構築されている。 IGRFの最新版IGRF10では，従来より高次（11～13次）の球面調和解析を行っており，約3,000～4,000 kmの空間分解能で主磁場を表現している（Macmillan and Maus, 2005）．地域モデルは特定の地域で観測された磁気データを基に構築され，対象とする地域のみで使用できる．地域モデルの空間分解能は一般的にICRFより高いため，主磁場だけではなく，地殻磁化による磁場の一部も表現している．そのため，地域モデルはローカルな地質構造の解析や地殻変動解析などの研究に対して，全球モデルより有効である．