GPS時系列データのウェーブレット解析から求めた関東。東海地方の経年的地殻変動場の特徴とそのテクトニクス解釈

摘要

現在，国土地理院全国GPS連続観測網，GEONET（GPSEarthObservationNetwork）には約1?200点の観測点が設置されている·最新のGPS基線解析戦略（Hatanakaelalリ2001）に基づいて再解析された各観測点の時系列データ（日々の．観測点座標値）は，以前のものと比べて大きく改善されている?これらのGPS時系列データに対してウェーブレット変換解析を行なえば，人為的原因や地震等によるデータ?ジャンプ，季節変動成分，短期変動成分や白色ノイズなどを明瞭に検出?分離することができる?それらを除去した後の時系列データに基づけば，その観測点の経年変動成分（数年以上の或る期間にわたる．）ニア·トレンド）がより正確に推定できる（Lietal．，2000；Vijaykumar虎αgり2002。 例えば，日本列島中央部の地震活動が比較的活発な地域に対して経年的最大弟断歪率分布を求めてみると?生のGPS時系列データから直接推定した場合とウェーブレット変換解析結果に基づき推定した場合とでは最大で0.14×10N6／yearに達する有意な差が生ずる，ということが報告されている（Vijaykumaretal?，2002）．そこで，日本列島中央部域（33．20N～37．8ON；135．OOE～141月OE）で1996年4月～2002年3月までの6年間に取得されたGPS時系列データ（改善後のGPS時系列データ）に対してウェーブレット変換解析を行い·この領域の経年的な地殻変動場を推定してみた.本論では，最初に，この解析結果に基づき推定された関東?東海地方（34．00N～37．20N；137月0E～141ぷE）の経年的な地殻変動場について，その特徴を概観してみる.