物理探査を併用した地質構造と地下水流動システムの推定

摘要

地すベり機構を把握し，効果的な地すベり対策を行うためには地質構造と地ド水流動システムの解明が重要である。しかし地表 踏查と限られたボーリングによる地質調査では明らかに限界がある。このため，平成12年に概成し，最近地すベり滑動が見られる ようになった流れ盤の荒瀬川地すベり地を事例として，地表踏赍とボーリング調査に加えて物理探杏を併用した調査を実施した。その結果，次の4点が明らかとなった。①地表踏查で把握された断層や推定断層に対応する地層の不連続がボーリング調查で確 認された。②物理探查による物性値の分布から，断層とそれに規制された地ド水の分布を空問的に推定することができた。③地す ベり地の地下水流動を規制するこれらの断層分布は，旧阿仁鉱山の鉱床形成時の応力場が反映されていると推定された。④これら の結果は，物理探查の併用の有効性が示され，地すベり対策工の設計に活用できる。