飛驒山脈南部?蝶ヶ岳付近に認められる重力性山体変形としての船窪地形

摘要

蝶ヶ岳は,飛驒山脈(北アルプス)を構成する山地列のうち松本盆地西側に位置する海抜2500m以上の稜線に位置し,槍?穂高連峰とは梓川最上流部を挟hで対峙している(図-1)。蝶ヶ岳は,海抜高度2600m~2670m に高度が揃い,幅200?300mの緩やかな頂部斜面がおよそ1.5kmに亘って続く幅広い稜線区間の総称で,最高点は最南端の2677mの独立標高点である。この緩やかな頂部斜面は,浸食小起伏面のなごりと考えられる。蝶ヶ岳付近の山稜は,頂部緩斜面の東側が急に落ち込むことに対し,西側で緩やかな非対称山稜を呈している。蝶ヶ岳付近の地質は,美濃帯に属する中?古生界の砂岩,泥岩のいずれかが優勢な堆積岩,あるいはそれらの互層からなり,部分的に礫岩層がレンズ状に分布する(原山,1990)。それらの堆積岩類の一般走向は,北東-南西で北西に40~60度傾斜する(原山,1990)。