連載小説「北オハイオの寒い風－ある日米特許係争の記録－」（第10回）

摘要

浩二は、この図面がTPM社の弁護人から出されたことに驚いたが、Gタイヤ会社から人手したものだろう、と思った。専門家からみると阪神重工とTPM社のタイヤ加硫プレスには、金型を締め付ける方法に明確な違いがある。しかし、ケラーが懸けた図面は、浩二たちが最終的に開発したプレスの構造を示すものではなく、むしろTPM社のプレスに近い構造をしている。この構造のままでは、TPM社の特許に抵触する恐れがあったので、設計変更をしたのだ。ケラーは、勢いづいた様子で質問し始めた。