革新的低コストを実現する改質系触媒の開発

摘要

家庭用燃料電池システムは、地球温暖化対策に有効な環境に優しいクリーンなエネルギー利用機器として期待されている。実際に、国の大規模実証事業において、家庭で発生するCO2を大きく削減できることが報告されている。産官学が一体となった技術開発、大規模実証を経て、2009年度よりいよいよ家庭用燃料電池「エネファーム」の発売が開始される。しかしながら、まだシステム価格が高価であるため、2015年度以降と言われる本格普及期に向けては50万円／kW以下のコスト目標を達成することが必須とされている。燃料電池システムにおいて、都市ガス、LPガス、灯油等の燃料から水素を製造する改質器は、主要な構成要素である（図1）。本格普及期に要求されるシステム価格を達成するためには、改質器も大幅にコストダウンを図る必要がある。特に改質器中の主要構成部材である各種触媒は、現状、貴金属が主体であるため、改質器のコストアップの大きな要因となっている。そこで、改質器の大幅なコスト削減を実現するために、2005年度より貴金属を用いないあるいは大幅に低減可能な卑金属ベースの改質系触媒開発を目的とした、NEDO技術開発機構の産学連携プロジェクト「固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発事業／要素技術開発／定置用燃料電池改質系触媒の基盤要素技術開発」がスタートした。本稿では、本プロジェクトの概要およびこれまでの研究成果について概説する。