混合相互部分空間法の提案とその顔画像識別への応用

摘要

本論文では，顔画像認識などで有効性が知られている相互部分空間法に混合類似度法の考えを組み込hだ混合相互部分空間法を提案する．提案法は混合類似度法において重要な役割を果たす“差分べクトル”を部分空問の差異を表す“差分部分空間”に置き換えている点で，混合類似度法の自然な一般化になっている． 相互部分空間法では比較すべき二つのパターン分布をそれぞれ部分空間で表し，両者のなす正準角に基づいて識別を行うことで，パターン変形に対する高い吸収能力を実現している． しかし各クラス部分空間は各パターンを近似する点では最適になっているが，識別の観点からは必ずしも最良とはいえず，識別性能に関しては改善の余地が多分に残されている．混合相互部分空間法は相互部分空間法のこの欠点を改善する方法となっている．同様の目的で提案されている制約相互部分空問法や直交相互部分空問法に比べて，誤認識しやすい特定の類似パターン分布同士に対して，ピンポイントで誤識別を改善できる利点がある． 提案法の有効性を公開顔画像データべースを用いて検証する．