保健医療·介護における人と情報技術の未来

摘要

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響を受け保健医療に対する国民の関心がきわめて高まっている．人にとって何が大切かは価値観の問題であり，一人ひとり異なるものだ．しかし，生命を維持することは人の最も基本的な欲求であるから，そこに高い関心をもつ人が多いのは当然のことである．保健医療の歴史は，感染症とともに歩hできた面も大きい．わが国の医療制度でも，「結核予防法」など生命に大きな影響を及ぼす疾患をターゲットに整備が進み，同法が感染症法に吸収された現在にあっても，今なお「結核病床」という病床区分は存続している．その感染症と人とのたたかいは今なお続いていることは周知のとおりだが，現在の死因は悪性新生物や心疾患が多い（図1）．感染症も然りながら生活習慣病も大きな課題なので，高齢者医療確保法に基づいて特定検診や特定保健指導が行われるようになった．