世界のドローン開発動向と農業応用からみた課題と展望

摘要

「ドローン」という名が広く知られるようになったのは首相官邸無人機落下事件からである．しかし，ドローンは2010年頃から模型店やネット通販で売られており，空撮動画をインターネットの動画サイトに投稿する人たちもいた．ドローンの明確な定義はないが，「電動モータで回転するプロペラが4つ以上あるコンピュータ制御された小型無人航空機」を指すことが多い．ドローンのルーツは1937年にさかのぼる．アメリカ空軍が開発した戦闘機の標的がその原型で，当時は人間が遠隔操作していた．プロペラの「ブーン」という風切り音がハチの羽音に似ていることから，雄バチを意味する「ドローン」と呼ばれるようになった．やがて，機体の制御技術の進歩とコンピュータの小型化により，ドローンは誘導ミサイルや無人攻撃機へと発展し，その技術は旅客機の自動操縦装置にも使われている．