中和共沈法で調製したZrO_2（Y_2O_3）-Al_2O_3系固溶体粉体のパルス通電加圧焼結法による高強度·強靭性セラミックスの作製

摘要

ゾル-ゲル法による粉体調製はコストが高く，産業的にこのセラミックスを使用するには粉体の低コスト化は避けることができない．そこで，低コストの粉体調製法である中和共沈法を用いてZrO_2（Y_2O_3）-Al_2O_3系固溶体粉体を調製し，（1）この系における安定化材（Al_2O_3も若干安定化材として働く）の最適な添加量，（2）粒子内組成の均質性や粒子径の分布の改善，（3）最適な焼結条件の調査という観点から研究を行った．具体的には，Y_2O_3の添加量を調整してジルコニアの応力誘起相転移強靭化を制御し，粉体の仮焼条件，およびPECPSを採用した焼結条件を最適化することにより，高強度セラミックスを作製する指導原理に従って，結晶粒径Gsが1μm以下で，相対密度99.5％以上の高密度微細構造の実現を目標とした．その結果，ゾル-ゲル法を用いなくても，靭性値K_(IC)≧15MPa·m~(1/2)と同時に強度σ_(IC)≧1 GPaに達するセラミックスが作製可能であることを見いだしたので，その結果を報告する．