序-材料が技術を生み，技術を育てる

摘要

技術は状況に依存した目的を持ち，目的に応じた装置（機械，構造物）を造ることから始まる．人間の行動を組み込hだソフトな技術というものも，このようなハードな技術が提供する基盤の上で，初めて可能になる．装置は目的を可能にする作動原理と，それを実体化する材料によって成立する．作動原理は多くの場合既存の材料で実証されるが，それが技術として成立するまでには，多くの試行錯誤の歴史を刻む．さらに一旦成立した作動原理は，特殊条件への適合の形で進歩する．要求される特性を満たす材料が得られなければ技術の進歩発展は期待できない．材料は技術の必要条件であり，材料が技術を生み，技術を育ててきた．