溶融法によるポーラスアルミニウムの製造技術と特性

摘要

近年，超軽量材料であるポーラス金属に対する関心は高く，とくにポーラスアルミニウムおよび発泡アルミニウム合金について多くの研究開発が行われている。 この背景には地球環境の保全があり，自動車など輸送機の軽量化による省エネルギーと省資源が目標とされている。車輌の軽量化は，構造用素材の軽量高強度化ならびに構成部品形状の最適化により実現されている。 これまで素材による軽量化は，車輌用構造材料として用いられている鉄鋼材料の高強度薄肉化ならびに比強度の高いアルミニウム合金などの多用化により行われてきた。 ボーラスアルミニウムは，エネルギー吸収特性に優れ　 軽量化，リサイクルならびに衝突安全性の観点で車輌に適合した材料といえる。 ポーラスアルミニウムに関しては1960年代に多くの製法が提案されたが，高価格，大型化，量産における品質の信頼性などの問題を解消できなかったため実用化に至らなかった。 現在では，溶融法，粉末冶金法，化学蒸着法など多くの製造方法で技術が向上し，ボーラス金属が製造販売されており，主として吸音材，熱交換器，電極，アルミハニカムの代替え材等に利用されている。 しかしながら，車輌に実用化されるには，更なるコストダウン，比強度および信頼性の向上が必要である。 本報ではポーラスアルミニウムの溶融法の一つである溶湯増粘法とその材料特性および現在の開発内容について紹介する。