セラミックス博物館(6)：焼成と釉薬の原理

摘要

粘土を成形，装飾し，乾燥，素焼き，絵付けをし，釉薬を掛けて焼くという手順は述べたが，釉薬（glaze；enamel）とは何か，焼くと素地とと釉薬に何が起きるかも述べる必要がある．焼成により粘土粒子が連結凝集して一体化し，釉薬は熔けて胎土の表面を覆い，冷却すれば平滑強固な表面を作るのだと誰でも言えるが，本博物館ではその科学的な説明をしなければならない．まず高温で粘土が固体のまま接合する焼結（sintering）の現象を説明し，焼成時の体積収縮，水の浸透，気孔率にも言及しなければならない．次に釉薬の種類と組成，融点を述べ，それがガラスとなること，胎土との密着性，胎土との熱膨張係数の差なども説明するであろう．